ご挨拶

第52回日本医学教育学会開催に当たって

第52回日本医学教育学会大会長

河野 嘉文
第52回日本医学教育学会大会 大会長
鹿児島大学医学部長

この度、第52回日本医学教育学会大会を鹿児島大学医学部が担当し、2020年7月17日(金)・18日(土)の日程で「かごしま県民交流センター」で開催することになりました。

本学会は、医学教育に関する研究の充実・発展ならびにその成果の普及を目的として、全国医学部長病院長会議の賛同のもと、1969年に設立されました。鹿児島大学医学部も機関会員として長年にわたり学会活動に参加してきましたが、2020年の東京オリンピックの年に52回目の大会を任されることになりました。

わが国の医学教育は、それぞれの時代に社会からの要請に対応して変化してきましたが、「2023年以降は、世界医学教育連盟(WFME)で認定された医学部・医科大学の卒業生しかECFMG認定の対象としない」という米国の声明で事態は一変しました。わが国の医学部・医科大学を卒業しても米国では認められないとなると、日本の優秀な医学生の進路に大きく影響するため、各大学とも世界標準の医学教育カリキュラムにするよう改革を始め、医学教育分野別評価を受審しています。審査内容は教育内容のみならず、教育資源、管理運営方法など多岐に渡り、特に臨床実習に重点を置いた評価方法で、地域医療機関をはじめ、医療人育成における社会との連携体制が重視されています。

このような状況で、本学会では「医療人育成の責任と挑戦:地域基盤型教育の展開を探る」をメインテーマに掲げ、特別講演ではオーストラリアで広大な地域の特性を活用して医療教育を実践するFlinders University のWalters教授に依頼しております。私どもの離島へき地医療人育成センターや鹿児島大学病院地域医療支援センターが中心となり、地域とともに医療人を育成する体制について議論を深めたいと思います。

また、現在、望ましい医療を提供するために、医療者の質保証として教育と制度が議論され、医療現場では多職種連携による適切なチーム医療が求められ、各施設で創意工夫して努力されていることと存じます。本大会では医療人育成という共通の舞台で活躍される皆様との討論が重要と考え、医学、歯学、薬学、看護学、理学療法学、作業療法学、医療情報学、獣医学などの各分野の内容を総合的に討論し、相互理解を深める機会にしたいと企画しております。

Post-CC OSCE正式導入の最初の年でもあり、歴史的な五輪の直前の開催で、何かと忙しい7月になると存じますが、九州最南端の鹿児島の地で食と文化を楽しみながら、わが国の医学教育の将来を語る会合になるよう期待しつつ、皆様の来鹿をお待ちいたしております。